外国籍の労働者の時給が安すぎる

そしてあるとき、ソノンさんに「こんなに助けてもらっているから時給を上げないとね」と言ったところ、思わぬ反応が返ってきました。喜んでくれると思いきや、「え⁉ 私が外国人なのに、給料上がっていいんですか⁉」と驚いているのです。

不思議だなと理由を聞けば、こういうことでした。彼女たちはほかのアルバイト先では、「時給が上がるのは日本人だけ」「外国籍の自分たちは昇給ナシの最低賃金で働くことが普通」なのだと思い込んでいたのです。

そういうことがあって、ぼくは初めて日本の経済を下支えしてくれている外国人たちが、その働きには見合わない安い賃金で酷使されている現実を知ったのです。もちろん、いまも当社は多くの外国の方々に支えられていて、中国に加えてベトナムなどアジア圏のスタッフが大活躍してくれています。時給も他社より高い水準です。

また、陳さんがそうだったように、彼らは人手不足になると、コミュニティの仲間を連れて来てくれる。日本でがんばろうと思っている彼らは働く意欲に満ちあふれ、店を盛り上げてくれています。

ときどき彼らと食事会をすることがありますが、彼らの国の飲食店に行くことは、ぼくにとっても異文化に触れるいい学びの場にもなっています。

ちなみに、馬島さんはその後、ニューヨーク店にも行ってもらい、現地のアメリカ人スタッフにゴーゴースピリッツを叩き込んでくれ、ニューヨークではレジェンドスタッフとして語り継がれているのです。

そして76歳を迎えた今でも新宿のお店でがんばってくれていて、非常に助かっています。大事なことはヤル気と元気。地方出身の高卒の若者たちや、主婦やシニア人材に支えられて、ゴーゴーカレーは大きくなってきたのです。

フランチャイズで最も大事にしていること

ゴーゴーカレーの国内店舗は、本部がキャプテンやスタッフを雇用する直営店を除くと、半数以上が本部と加盟店契約を結ぶフランチャイズ店舗です。

直営店にもフランチャイズにも、メリットとデメリットがあります。本部から見た場合、直営店はマネジメントをしやすいという利点がありますが、出店への投資をすべて負担しなければならず、多店舗展開にはかなりの資金が必要となります。

一方、フランチャイズはパートナーとなる個人や法人の資金を活用するので、本部としては負担を抑えて店舗を増やしていける。ただし、直営店に比べてマネジメントが難しいというデメリットがあります。

「ゴーゴーカレー」創業者の宮森宏和さん
写真提供=ゴーゴーカレー
「ゴーゴーカレー」創業者の宮森宏和さん

そんなフランチャイズとの関係をどう構築していくか、そこに会社のカラーが明確に出ると思います。

当社は第一に、フランチャイジー(加盟店)を「世界に元気を届けるパートナー」と考えていますから、マニュアルの遵守はもちろん大事ですが、それ以上に「世界に元気を届ける」というゴーゴーのミッションに賛同していただけることを重視しています。