政治家の「失言」は、どのように批判されるべきか。ジャーナリストの尾中香尚里さんは「政治家の立場によって重要度は変わる。実際に権力を持つ政権与党、とりわけ閣僚の発言については、より厳しい批判があるべきだろう」という――。
小西洋之氏に刺さった「ブーメラン」
やれやれ、またこんな話の繰り返しか。正直、軽いため息が出る。
立憲民主党の小西洋之参院議員が、衆院憲法審査会について「毎週開催はサルがやること」などと発言し、批判を受けた問題だ。政府・与党批判の最前線に立つ野党議員が、自らの失言やスキャンダルなどで、一転逆風にさらされる。一部メディアなどが「野党にブーメラン」とはやしたて、そうこうするうちに政府・与党の何が批判されていたのかがうやむやになってしまう。この20年くらいの間に何度も見てきた光景だ。
別に小西氏の発言を良いと思っているわけでは全然ない。本人に深い反省が必要なことは言うまでもない。だが、一部政治家やメディアが小西発言を繰り返し血祭りに上げている間に、この問題の周囲でなぜか捨ておかれている他の政治家の言動の方が、筆者はずっと気にかかる。
せっかくの機会なので、そうした言動にここで改めて注目してみたい。
「サル発言」よりもはるかにまずい失言
小西氏の発言は、メディアの見出しでは「サル発言」と書かれることが多いのだが、正直筆者は「サル発言」にはあまり関心がない。確かに憲法審査会所属の議員たちに失礼ではあるが、関係者に真摯に謝罪し、以後の発言に留意すればすむことだ。
小西氏は党参院政審会長を辞任し、立憲民主党も幹事長による注
問題はむしろ「サル」とは別の発言である。小西氏が、発言を報じた一部メディアについて「(総務省の)元放送政策課課長補佐に喧嘩を売るとはいい度胸だ」とツイッターに投稿したのは、さすがにサル発言とは次元が違うと考えざるを得ない。