※本稿は、橋下徹『日本再起動』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。
自民党の強さは「まとめる力・まとまる力」
なぜ日本の野党は弱いままなのか。その答えは組織としての弱さにあります。
政治家は政策を語りますが、どんなに立派な政策を語ったとしても「組織の力」がなければ、政策は実行できず、単なる机上の空論で終わります。
つまり、政党は政策を実行するだけの組織力を持つ必要があります。
僕が大阪都構想を提唱したのも、大阪をよりよくするための政策を実行するには、しっかりとした役所の組織づくりが必要だと思ったからです。
大阪府庁と大阪市役所の統合・再編です。このような僕の考えに対して、「制度を変えても何も変わらない」という意見もありましたが、僕は大阪全体をよくする政策は、大阪府庁と大阪市役所の2つの役所組織に別れたままでは実行できないと考えました。
これは地方自治体の役所組織だけではなく、政党という組織も同じです。政治家それぞれが政策やビジョンを語ることも大切ですが、それを実行に移せるだけの政党の組織力が大事なのです。
組織力を強くする第一歩は、まずは自らの組織内にある異なる意見を1つにまとめることです。現在はバラバラに存在する野党が最終的には1つにまとまるために、まずは個別の野党が1つにまとまることが重要。
野党が自民党に選挙で勝利し、政権を奪取して自らの政策を強力に実行するために、この「まとめる力・まとまる力」が必要不可欠です。
自民党は、長い時間をかけ、数多くの経験を積み重ねながら「まとめる力・まとまる力」を蓄えてきました。だからこそ、たとえ党内の意見に大きな開きがあるときであっても、対立する意見をまとめ、党の統一した意見としてしまうだけの知恵を持っています。
どれだけ党内に激しい対立があったとしても、「決まったことには最後は従う」という不文律があり、決める過程において各メンバーの面子を保つ知恵と工夫がある。
ありとあらゆる人間関係を使って調整し、反対意見も尊重し、最終的には人間関係力をもった人間が組織をまとめる。それにとくに長けているのが自民党なのです。