民主党のドンと呼ばれ、党と参院を仕切ってきた輿石東幹事長の力が急速に衰えてきた。党内からは「史上最低の幹事長」との酷評まで聞こえてくる始末だ。

「輿石さんは7月初め頃から永田町の衆議院第二議員会館地下にある歯医者に足繁く通っている。高齢だが入れ歯ではないらしい。党内では“盟友の小沢一郎元代表の離党で輿石幹事長の存在意義が消失。やることがなくなって暇なのだろう”と囁かれています」(民主中堅議員)

輿石氏は日教組出身。民主党の最大支持母体「連合」労組を背景に、党参院議員会長として長年参院を牛耳ってきた。

「新聞記者に対しても“テメエラに話す必要なんかねえ”などと口汚く罵るのが常。虎の威を借る労働貴族という形容がピッタリの人」(全国紙ベテラン記者)

そんな輿石氏を野田佳彦首相が幹事長に据えたのは、小沢氏との盟友関係ゆえ。党内最大勢力を率いる小沢氏と首相の間を取り持つことで権勢を振るってきた。田中直紀前防衛相ら問題閣僚を閣内に押し込んできたのも輿石氏。田中氏らが失言を連発しても首相は輿石氏の顔色をうかがい、なかなか首を切れなかった。

「輿石氏の得意技は問題先送り。小沢氏らが消費増税法案の国会決議で造反したときも、輿石氏は処分に反対。消費増税法案の審議日程が押す中、ダラダラと小沢氏との会談を重ね時間を浪費、“歴代最低の幹事長”と民主党や野党自民党から顰蹙を買った」(全国紙官邸詰め記者)

だが消費増税法案で民主党、自民党、公明党の三党合意ができたことで環境は一変。小沢グループが造反しても法案が成立する見通しがついたため、首相は一転して小沢切りに猛進。小沢グループの離党によって、輿石氏は「用済み」(前出中堅議員)になったわけだ。

総選挙は今年晩秋から来年2月の可能性が高く、その前に9月の民主党代表選と内閣・党役員人事が行われる見通し。

「前原誠司政調会長の代表選不出馬・野田支持宣言によって野田続投の可能性が出てきたが、誰がなっても輿石幹事長の更迭は避けられない。それどころか兼務している党の参院議員会長に再選されるかどうかも怪しくなってきた」(同前)

輿石氏の夢は参院議長就任というが、儚い夢で終わるのだろうか。

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