「春のセンバツ」に出場する神奈川県の慶應義塾高校は元祖Enjoy Baseballのスタイルで知られる。球児は丸刈りがほとんどだが、塾高は脱丸刈り。むやみやたらな声出しもせず、グラウンド入退時の一礼をしなくてもいい。スポーツライターの清水岳志さんが慶應義塾幼稚舎の教員でもある同校監督の森林貴彦さんに取材した――。

「さあ、行こうぜ」「元気出そうぜ」は無駄なんです

塾高の練習風景はやはり静かだった。

開催中の甲子園のセンバツ大会、第4日目の第三試合に登場する神奈川県の慶應義塾高校(以下、塾高)。本番を控えた3月中旬にグラウンドを訪ねると、筆者が前回に取材したときとまったく同じ空気に包まれていた――。