クリエイティブな人間だけが組織を成長させるのではない

二人はその日のうちに他の何人かのエンジニアにも聞いてみたが、答えはほとんど同じだったという。そこで結局、グーグルは翌年になって管理職をもとに戻したのだった。人間はだれもが創造性を高めて、すばらしくクリエイティブな仕事をできるわけではない。優秀な人もいれば、仕事ができない人もいる。やる気のある人もいれば、意欲などかけらもない人もいる。しかしだからといって後者のような人たちを放置してもいいわけではないし、そのような人たちも仲間としていっしょに仕事をしていく必要がある。

佐々木俊尚『Web3とメタバースは人間を自由にするか』(KADOKAWA)
佐々木俊尚『Web3とメタバースは人間を自由にするか』(KADOKAWA)

そもそも「多様性」というのは、いま現在は「できなさそうな人」「無能な人」に見えてしまう人でも、どこかで何らかの役割を発揮して、ひょっとしたら社会を救うかもしれないという可能性を考え、あらゆる多様な人を包摂しておこうというものである。

ビジネスジャングルで生き抜ける人、クリエイティブな人だけを重用し、その人たちだけが能力を発揮できるようにするというのは、社会にとっては健全ではない。そのバランスを調整するのが企業においては管理職の仕事であり、社会においては政治なのである。

ウェブ3の「自由」の問題は、ここにある。

【関連記事】
【第1回】GAFAMの無料サービスを使い続けると人はどうなるか…「エリートと貧民しかいない社会」が現実味を帯びるワケ
「私は聞いていない」という上司はムダな存在…トヨタ社内に貼ってある「仕事の7つのムダ」のすさまじさ
7年連続"理想の上司"ウッチャン系上司は「会社にはいないし、出世できない」企業人事部が超辛口なワケ
なぜか日本人は「PDCA」を「PdCa」にしてしまう…日本企業が残念な失敗を繰り返す根本原因
「仕事の質低下は見えないところで起きる」トヨタのリーダーが部下の力を最大化するために徹底する4つのこと