相手の長所も短所も取り込む

そうなれば、それを反面教師として、「自分はこういう考え方はやめよう」とか、「他人に接するときにはこういう点を注意しよう」と、今後に生かす道筋となる。

それだけでも、ただイライラしているだけよりはずっと意味のある時間となる。

はじめは、ただ「苦手な人だな」と感じるだけだったものが、このプロセスを経ることで「この人はこういう人なのだ」と、多少の受け入れ態勢も生まれてくる。

そう思えるだけで、心理的な負担はかなり軽減されることだろう。

自分が経験していないことを体験している人、自分とはまったく異なる発想や視点を持つ人はすごく大切な存在だ。

これは、相手の「長所」だけではなく、「短所」においても同じことがいえるだろう。見習うべきことは、「いいところを盗んでやろう」と貪欲に取り入れればいい。一方で、欠点については、「ここは絶対に真似したらダメだな」と反面教師にすればいい。

そう考えると、すべてに無駄がなくなる。

物事は先入観なくフラットに見る

わたしはいつも、「物事は先入観なくフラットに見よう」と考えている。

いい面も、悪い面も、いずれもきちんと見極めなければ、正しい判断はできない。正しい判断をするための材料のひとつとして、苦手な人との時間を利用するようにすれば、不快な思いはかなり軽減されるはずだ。

鳥谷敬『他人の期待には応えなくていい』(KADOKAWA)
鳥谷敬『他人の期待には応えなくていい』(KADOKAWA)

あらためて思うのが、ここでもやはり「いかに時間を有効に使うか?」という思いが、自分の根底にあるのだということだ。

どうせ断ることができないつきあいであるならば、その時間を少しでも無駄にせずに自分のためになるように使う方法を考える。

そのために「他人」という存在を上手に活用する。損得勘定だけを重視した、いかにも打算的な考えのように見えるかもしれないが、それでも、苦痛を軽減し、時間を有効に活用するひとつの方法であることは確かだと、わたしは思う。

【関連記事】
【第1回】「怒る」という感情はなんの役にも立たない…元阪神の鳥谷敬が試合中に感情を一切表に出さなかったワケ
銀座ママが「LINEを交換しよう」と聞かれたときに必ず使う"スマートな断り文句"
休日は家でごろ寝してしまう…住職が「やりたいことをやれない人」に提案する"アクティブプラン"
52歳羽生九段と20歳藤井五冠の考えは完全一致「集中力を高めるために本番前にやるたった一つのルーティン」
野球嫌いの子供をこれ以上増やしたくない…大阪の名門チームが決別した「少年野球の3つの常識」とは