物価が上がっても、それほど年金額が上がらないだけでなく、2016年の改正で、働く人の給料が下がれば、年金額も下がるようになっているからです。

ですから、実質的な年金額は、もしかしたら現在もらっている人の年金額の半分くらいになっている可能性もあります。

こう書くと、なんだか絶望的な気がしますが、この世代は、共働きが多いことが幸いしています。

特に奥さんがパートで働く人が多く、パートは、年収106万円を超えると、2024年10月以降は従業員51人以上の企業には、厚生年金への加入が義務付けられます。

ですから、2人で働いて厚生年金に加入する人がかなり出てくることが予想されるので、その分年金額も増えるでしょう。2人で働けば、なんとかなるのです!

70歳に繰り下げ受給で月4万2000円増える

年金は、基本的には65歳からもらえますが、希望すれば、60歳から75歳の間で、好きな時にもらいはじめることができるようになっています。

65歳より早くもらいはじめることを「繰り上げ受給」といい、65歳より後にもらいはじめることを「繰り下げ受給」といいます。

65歳より早くもらう「繰り上げ受給」では、支給時期が65歳よりも1カ月早まるごとに年金額が0.4%減額されます。

通常は65歳にもらう年金を、60歳からもらいはじめるので、65歳からもらいはじめるよりも24%(0.4%×12カ月×5年)支給額が減るということです。

65歳で月10万円の年金をもらう人なら、60歳でもらいはじめると、支給額が月7万6000円に減ってしまうということです。

逆に、65歳よりも遅くもらう「繰り下げ受給」では、支給時期が1カ月遅くなるごとに年金額が0.7%ずつ加算されます。

70歳からもらいはじめると、42%(0.7%×12カ月×5年)支給額が増えます。65歳で月10万円もらう人なら、70歳まで支給を遅らせると、70歳から死ぬまで月14万2000円もらえるということ。

75歳から年金をもらうとすると、84%(0.7%×12カ月×10年)支給額が増えます。65歳で月10万円もらう人なら、75歳まで支給を遅らせると、死ぬまで月18万4000円の年金をもらえるということです。

「いつから年金をもらうか」の最終結論

では、実際には何歳からもらいはじめたらいいのでしょうか。

年金は、死ぬまでもらえるものなので、長生きすればするほどたくさんもらえるというのが基本です。

そして、いつまで生きられるかは、「神のみぞ知る」ですが、男性の平均寿命は81.64歳、女性は87.74歳。

ただ、たくさん年金をもらっても、それを楽しく使えないと意味がありません。介護の必要がなく健康的に生活できる「健康寿命」というものがありますが、これは、男性が72.68歳、女性が75.38歳。

屋外で年金手帳を手に持つ女性
写真=iStock.com/banabana-san
※写真はイメージです

ですから、75歳から増えた年金をもらっても、もしかしたら楽しく使うことができないかもしれません。

こうしたことを念頭に、自分がいつから年金をもらうかを考えてみましょう。