人は一般的に、自分の実力を過大評価しがちです。こうした傾向は、とくに実力不足の人に顕著に見られ、実際の成績と自己評価の間のギャップが大きくなったりします。なぜ、自己評価をする際に認知バイアスが生じてしまうのか。ビジネスシーンで陥りがちな2つの認知バイアスを解説します。

※本稿は『イラストでサクッとわかる! 認知バイアス』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

誰もが認知バイアスに縛られている

「自分だけは大丈夫」
「そうなると思ってた」
「あの人って○○だよね」

日常生活の中で、知らず知らずのうちにこうした言葉を口にしていないでしょうか?

私たちは何かを判断するときに、自らの思い込みやこれまでの経験、直観や先入観、願望など偏った思考によって、合理的でない判断をしてしまうことがあります。

心理学ではこれを「認知バイアス」と言います。

この“思考の偏り”は日常生活のあらゆる場面に潜んでいて、無意識のうちに誰もが縛られています。

なかには「私は客観性があるほうだから」「いつも合理的に考えているから」などと、「自分は大丈夫」と考えている人もいるかもしれません。でも、その思い込み自体が、もう「認知バイアス」なのです。

この認知バイアスで間違った判断をしないようにするためには、まず自分の思考が「偏っているかもしれない」と知ることです。

自分が一番よくわかっていると思いがちな自分の能力に関しても、じつはさまざまな認知バイアスに囚われていたりします。

ここでは、ビジネスシーンなどで陥りがちな自己評価に関する2つのバイアスを紹介します。

自分は「平均以上だ」という幻想

「あなたは会社で仕事ができるほうですか?」

もし、このように質問されたら、なんと答えるでしょうか。

自信満々に「よくできる」とまでは言えなくても、「まあ人並みにはできるほうだ」と自負している人が多いのではないでしょうか。

フランスの調査では、ビジネスマネージャーの90%が、自分の専門性に関して、平均的な同僚よりも優れていると評価したといいます。他国の調査でも、「自分は平均以下だ」と評価したのはたった1%でした。また、アメリカの調査では、外科医の多くは自分の担当患者の死亡率は平均よりも低いと考えていることが示されました。

このように、ある特性や能力において、自分は平均的な他者よりも優れていると考えることを、「平均以上効果」と言います。

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