経営者が行使できる3つの権限
経営者の意識を変えるには、その役割を知ることが大切です。
経営者は、次の大きな権限を持っています。
1 事業方針の決定(何をやるのか)
自社の事業を、社会にどう役立てるのか、何のための、誰のための事業なのか。自分たちの考えを明確にし、何をやり、何をやらないのかを決める権限
2 資金配分の決定(いくら使うのか)
マーケティング、商品、サービスの開発費、人材の採用、人材の育成など、最も有効な費用の使い方を決める権限
3 人材配置の決定(誰にやらせるのか)
一人ひとりの強みを最大限に活かすために、成果が期待できるところで活躍してもらえるよう、どの従業員をどこに配置するかを決める権限
このように経営者は、大きく分けて3つの権限を持っています。これらの権限を適宜行使することで、いかようにも事業を前進させることができます。
しかし、DXに関しては、その権限を行使できていないのが現状です。リスクを引き受けると得るものも大きい。では、なぜ経営者は権限を行使できていないのでしょうか。
「リスクマネジメント=リスク回避すること」ではない
日本はDXにおいて、諸外国に比べると後れを取っているその大きな要因は、リスクを取ろうとしないからです。リスクを引き受けない人は、「これはリスクマネジメントだ」と言って、自己を正当化する傾向があります。その背景には、時代の変化を読み取れなかったり、任期中は問題を起こしたくないという保身であったり、周りに強い抵抗勢力が存在していたりと、様々な要因が考えられます。
リスクマネジメントとは、リスク回避することだと考えている人が多いようですが、そうではありません。本来は、「リスクをコントロールすること」です。いざというときは、あえてリスクを引き受けることも重要なのです。
私は、リスクを積極的に引き受けることはいいことだと考えています。リスクが大きいものであるほど、成功したときに得られるリターンは大きくなります。たとえ失敗したとしても、その経験は、その後につながる得難いものになるからです。