「やり抜く力」3人の名経営者に共通すること
心理学者のアンジェラ・ダックワース氏は、著書『やり抜く力 GRIT(グリット) 人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』(ダイヤモンド社)の中で、「どの分野であれ、成功する人の共通点は、才能よりも、興味、練習、目的、希望をもって『やり抜く力』にある」と述べています。
「やり抜く力」には、「闘志(Guts)」「粘り強さ(Resilience)」「自発(Initiative)」「執念(Tenacity)」が必要とされ、その頭文字をとって「GRITと呼ばれます。
私が共に仕事し、手本とする経営者に、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長、セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文元会長、SBIホールディングスの北尾吉孝社長がいます。仕事内容も性格も違うお三方ですが、共通点があります。それは、どんな困難にも立ち向かう闘志、あきらめない粘り強さ、人の意見に左右されない自分なりの哲学を持ち、周囲を畏怖させる執念を持っているということです。
このお三方に多少なりとも影響を受けた私自身、闘志・粘り強さ・自発・執念(GRIT)が発揮されたときには、成功に近づいたと感じることが多いです。また、自分自身が「あきらめない心」を強く意識しているときにGRITが発揮されているように感じます。
「協議します」留保する会社はうまくいかない
DXを成功させるにあたり、あきらめない心を持つことは、何よりも重要なことではないかと私は考えます。DXを成し遂げる強い意志を持ち、あきらめない心を持ち続けることができれば、たとえ最初は結果が伴わなくても、時間の経過とともに、必ず変革は起きます。
経営者が、時代の流れを認識し、自ら率先垂範で行動を始め、周りを巻き込む覚悟を持ち、あきらめない心を持ち続けることができれば、DXは必ず成功するのです。
「経営者が決意しなければDXは絶対にうまくいきません」
これは、私がクライアントによく話す言葉です。この言葉をどう受け止めるかで、その後の会社の動きは変わってくるように思います。
私の言葉を素直に受け入れ、「まずは動ける範囲で動いてみます」と、経営者が自ら行動し始めた会社や、経営者を動かすために社員が行動を始めた会社は着実に前進し、社内の雰囲気も変わり始めます。
反対に、「そうですね」「協議します」と、行動を保留する会社は、社内のデジタル化が後退し、先行き不安な雰囲気が職場に流れます。とくに若い社員の不安が増大します。
この差はいったい、何なのでしょうか。