盛り上がるのはこんな話題

あるいは、バーでは「金額ネタ」も受けます。

例えば、僕の友人の飲食店に、当時話題沸騰中の芸能人が来店したときの話です。その人が帰った後すぐに週刊誌の記者が来て、「さっき、あの人がどんな会話をしていたか教えてくれたら○万円差し上げます」って提案されたのですが、さていくらでしょう? っていうような話題は確実に盛り上がります(ちなみにその友人はもちろん断ったそうです)。

疑問符と日本のお金
写真=iStock.com/bee32
※写真はイメージです

バーテンダーではありませんが、常連のお客様でとても綺麗な女性がいらっしゃるのですが、その方は「以前AVに出ないかと誘われたのだけど、そのとき提示された出演料はいくらでしょう?」っていう話題が必殺技で、その場にいる男性も女性も百発百中で盛り上がっていました。

あとはむしろ、こちらから質問をしたほうが盛り上がることが多いですよね。飲食店などのサービス業をしている人には、「今までで一番困ったことって何ですか?」って聞くと、みんなすごく面白い話を教えてくれます。

フリーライター、編集者、デザイナーのような、フリーランスの人には、「今までで一番悔しかったことって何ですか?」って聞くと、みんな「聞いてください、林さん」って、すごく面白い話を教えてくれます。その人の職業の特性に合わせた質問が効くみたいです。

あと、僕は意識的に、「街で流行っているもの」の情報を集めています。例えばコロナの前ですが、渋谷では「路上飲み」が流行り始めていたのをご存じでしょうか?

他にも、渋谷でクリスマスにサンタの仮装をした男性グループが、同じように仮装をした女性グループに声をかけるっていうのが流行ってたりしました。こういう街の流行を意識的にチェックして、ネタとしてカウンターで披露しています。

僕はどちらかといえば、「お客様に話してもらって、それを聞く」というスタイルですが、カウンターのお客様同士が話していて、イマヒトツ会話がかみあわなくて、どうしても僕から何か新しい話題を提供しなくてはいけない状況になることもあって、そんなときのために、意識的に「何か面白い話」を集めているわけです。

バーテンダーに限らず、会話の仕方や盛り上げ方に悩んでいる人は多いと思うので、もし参考になれば嬉しいです。

「女性の会話は共感してほしいだけ」の真実

いろんな雑誌やウェブの記事、カウンターでの会話などで、女性にどういう男性が好きなのかや、婚活での体験談などをいろいろ聞いていると、とにかく「話が合う男性が好き」「会話が面白くない男性は嫌だ」って言うんですね。

で、「会話が面白い人ってどういう人ですか?」とか「会話が合うってどういう状態ですか?」って、できるだけ具体的に聞いてみることにしているんです。

というのは、どうやらそこさえクリアすれば、「恋愛成立」ということが多いからなんです。日本の婚活問題の多くが解決しそうなんです。

まず、女性からの意見でよく聞くのは、有名なあの「共感してほしい」です。

例えば、女性が「会社でこんな嫌なことがあって」と男性に相談すると、男性が「それはおかしいよ。だったらあなたは会社に対してこういう風に抗議してこういう風に改善すべきだと思う」と答えるパターンがあります。

それはまあそうなんだけど、女性としては「解決策」を知りたいのではなくて、「なるほどね。そういうことあるよね。大変だよね」と共感してほしいという説です。こういうの、多くの「男女の違い」というような本に書いてありますよね。

もちろん、性はグラデーションなので男性女性とはっきり2つに分かれているのではなくて、限りなく男性に近い女性もいれば、限りなく女性に近い男性もいます。

主語を大きくして「女性はこうだ」と決めつけるのはよくありません。ただ、この「共感してほしい」説に対して思っていることがあるのであえて書きます。

実はこの会話のすれ違いって、男性がよくやりがちな「自分の話に持ち込むパターン」が原因なんじゃないかということです。