防衛するにはどうしたらいいのか

加害者がゼロになれば、いじめやハラスメントはなくなるはずです。世の中には、加害者のカウンセリングや再発防止プログラムを行う団体などもありますが、まだ十分とはいえません。また、そもそも加害者本人が心から変わりたいと思っていないと、そういったところに行ったりプログラムを受けたりはしませんから、なかなか難しいと思います。

現時点では、いじめやハラスメントの加害者や、加害者予備軍が世の中にいることを前提に、いかに自分が被害者にならないようにするか、防衛を考えるしかありません。

先ほど挙げた3つのリスク要因に注意を払い、共感力が欠如しているなど、あやしい傾向がある人には近付かないなど、距離の縮め方にも注意したほうがいいでしょう。

ただ、友人関係と違って、会社での人間関係になると、自分の意思で付き合う相手を選ぶことができません。特に上司となると、簡単に変えてもらえるわけではないので、距離の取り方は非常に難しいところです。

「環境や加害者がおかしい」という感覚をキープする

もしハラスメントを受けた場合は、できれば周りを巻き込んで、同じような被害を受けている人たちと一緒に、パワハラ上司の上司や人事、コンプライアンス室などに相談してください。外部の相談窓口を頼ってもいいでしょう。

特にまじめな人ほど、ハラスメントの標的になると、どんどん感覚がマヒし、「自分が悪いのではないか」「ここになじめない私の方がおかしいのではないか」と自分を責めてしまいます。でも、「パワハラが横行しているこの環境が異常なんだ」「自分がパワハラをしていることに気付いていない、この上司がおかしんだ」という感覚は、持ち続けてください。そして、くれぐれも自分だけで抱え込んで孤立しないよう、周りに相談してほしいと思います。