漢字が多いと同じ内容でも伝わりにくくなる

(2)漢字とひらがなの比率は「2~3割」対「7~8割」に

漢字とひらがなの比率を変えるだけで、見た目の印象が大きく変わります。

●漢字が多い……硬い印象を与え、内容が頭に入りにくい。
●漢字が少ない……やわらかい印象を与え、内容が頭に入りやすい。
【図表1】ひらがなにしたほうがいい言葉の候補
ひらがなにしたほうがいい言葉の候補(出所=『社会人になったらすぐに読む文章術の本』)

漢字はひらがなよりも画数が多いため、漢字を使いすぎると、文字が詰まった印象になります。

元の文章
配付資料はページ数が僅かで殆どが図です。予め読んでおいて下さい。念の為、ご連絡しました。
改善例
配付資料はページ数がわずかでほとんどが図です。あらかじめ読んでおいてください。念のため、ご連絡しました。

改善例では、5カ所の漢字をひらがなにしました。印象がやわらかくなります。ただし、すべてをひらがなにすると、読みづらくなります。「漢字2~3割」「ひらがな7~8割」を目安にすると、バランスが整って、読みやすくなります。

句読点の位置は文の意味とリズムを作る

(3)「、」「。」はルールに従って打つ

文章を書くときに必ず使うのが、句点くてん「。」(マル)と読点とうてん「、」(テン)です。この2つを合わせて句読点くとうてんといいます。両方とも、文を分ける働きをします。句読点は、内容によって文を分けるため、「文や文章の意味を明確に」します。

また、「リズムを刻む」役割も果たします。例を見てみましょう。

元の文
昨日入荷した部品はすべてA工場に届けた。
改善例(1)昨日、入荷した部品はすべてA工場に届けた。
改善例(2)昨日入荷した部品は、すべてA工場に届けた。
改善例(3)昨日入荷した部品はすべて、本日A工場に届けた。

元の文の場合、「昨日入荷した部品」を届けたのか、それとも、「入荷した部品」を昨日届けたのか、あいまいです。改善例のように、「テン」を打つことで、文の中にまとまりができるため、読み手は迷うことがなくなります。テンを打つ位置によって意味が変わります。

【意味】
改善例(1)「昨日」A工場に届けた。
改善例(2)「昨日入荷した部品」を(いつかわからないが)A工場に届けた。
改善例(3)「昨日入荷した部品」を本日、A工場に届けた。

改善例(3)は届けた日(本日)を加えたことで、改善例(2)よりも文の意味が明確になりました。

文例(1)今日も明日も明後日もスケジュールがいっぱいだ。
文例(2)今日も、明日、明後日も、スケジュールがいっぱいだ。

同じ文でも、文例(2)のようにテンを打つとリズムが生まれます。テンは文にリズムを与える効果があります。