ゆくゆくは「100年延長」も視野に

昭和の高度成長に矢継ぎ早に建設された高速道路は、耐久年数である50~60年程度をもって借金を返済し、「無料公開」されるはずだったのだ。しかし、それは老朽化という名目でなし崩し的に延長を繰り返している。

建設国債であれば公共財という資産が残ることになり、財政の健全性に問題はない。しかし、1985年度から財源不足を補う赤字国債の返済にもこの「60年ルール」が適用されるようになり、借金は雪だるま式に膨張していった。そして、今回の防衛費増額の財源捻出の一環として「60年ルール」の延長案が持ち上がった。一般会計からの返済繰入額を減らす代わりに、借換債の発行を増やし、繰入額を減らした分、防衛費に使える一般会計のお金を増やそうというのが狙いだ。

だが、単年度では一般会計からの返済費は少なくなるものの、返済総額が減るわけではない。借換債を余計に発行することになり、将来世代の負担はさらに増すことになる。

この構図は、高速道路の50年延長と同じだ。いずれも現状のルールを変更し、財源を捻出する「裏技」と言っていい。かつ、高速道路の有料化期限は、道路の耐久年数に準拠している。同様に国債の「60年ルール」は公共事業の建設国債が原点であり、公共施設の耐久年数がベースになっている。

そして、その見直しの背景には危機的な日本の財政状況がある。高速道路各社は、高速道路の耐久年数は100年まで延長可能ともみており、有料化をさらに延長し続けることは確実だ。

国の借金は膨れ上がるばかり

財務省は、税収で返済する必要のある普通国債(建設国債、赤字国債、借換債)の発行残高が2022年12月末に1005兆7772億円になったと発表した。1000兆円超えは初めて。22年9月末から11兆9807億円増えた。日銀が大規模金融緩和のさらなる修正に踏み込めば、金利上昇で利払い費が急増する恐れがある。

貸し付けの回収金で返済する財投債や借入金、政府短期証券なども合計したいわゆる「国の借金」は1256兆9992億円となった。

一方、日銀が22年末に10年物国債利回りの許容変動幅をプラスマイナス0.5%に拡大し、長期金利は上昇傾向にある。財務省は利払い費の見積もりに使う金利を26年度に1.6%に置いた場合、同年度の国債費は29兆8000億円と23年度から4兆5000億円増えると試算されている。

こうした危機的な日本の財政状態については、海外からも懸念する声が上がっている。国際通貨基金(IMF)が昨年1月26日に公表した対日経済審査の結果はその筆頭だろう。審査は10年に及んだ異次元緩和の効果を検証し、修正案を提言しているもので、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)の柔軟化を求めているのが特徴だ。その中で財政政策についてつぎのように指摘している。

「債務の借り換えと発行のリスクは、豊富な国内貯蓄とホームバイアス、外貨建て債務を含まない債務構成を背景として、短期的には抑えられている。しかし、中長期的には人口動態のトレンドが重くのしかかり、債務持続可能性のリスクが高まる」