明らかに指導内容を詰め込みすぎている
東京の中学校教員は訴える。「今年の中学1年生の教科書は驚くべきものでした。Be動詞と一般動詞がレッスン1に同時に登場し、両方の肯定文、疑問文、否定文が1時間ごとに初出します! 「もう無理」と何度弱音を吐いたことか」。
しかも、高校で学習していた現在完了進行形や仮定法まで中学校に下ろされた。ある英語教員は「授業ではやることが多すぎて時間が足りません。置き去りにしている生徒が気になりながらも、教科書を進めていかなければならないのが悩みです」と苦しさを訴える。
2021年度から使われている新課程の英語教科書について、英語教師たちはどう思っているのだろうか。和歌山国民教育研究所が2022年6〜9月に県下の中学校英語教員を対象に実施したアンケート調査(回答者104人)によれば、新しい教科書への総合評価(複数回答可)で最も多かったのが「内容が難しくなった」の70%で、逆に「内容が易しくなった」は0%だった。
次に多かったのが「盛りだくさんで、精選が必要」の64%、「授業しにくくなった」が36%で、「授業しやすくなった」は8%だけだった(図表1)。
英語への苦手意識を植え付けている
項目別に見ると、語彙については「多すぎる」が69%、「適切」が17%、「少ない」が0%(図表2)。
文法事項は「多すぎる」が44%で、「適切」の40%を上回っている。やはり語彙を急増させたことで語彙指導が困難になり、仮定法や現在完了進行形などを加えたことで文法指導項目が多くなり、盛りだくさんすぎて授業がしにくくなったと感じる教員が多いことがわかる。当然ながら、生徒たちにとっても重い負担となっている。学習指導要領が改悪され、現場の実態と遊離しているのだ。
アンケートに寄せられた教師たちの代表的な意見を聞いてみよう。