なぜ中国に強く出ることができるのか

英国政府はコロナ問題のみならず、中国を取り巻くあらゆる問題について「情報共有がない」「透明性がない」と考えている、と強く感じたからだ。各国政府が中国の動きにどう対応すべきか手をこまねいている中、国民の目に触れる政府の公式文書の上で、中国に対する考えをこうして明確にした姿勢に筆者は大いに溜飲を下げた。

英国は米国や日本と比べて、中国を堂々と批判しやすい側面がある。香港問題で「中国政府のやり口は許せない」と断罪しても、そもそも中国との物理的な距離が遠いので地政学上のリスクが少ない。

中国ビザは、国籍ごとに申請料が違うのだが、従来から英国籍者向けビザの料金は他の欧州国籍者向けと比べて1.5倍と高額だ。1回入国できるシングルビザでも申請料などで総額217ポンド(約3万5000円)もかかる。ちなみに、米国民向けはビザ代がさらに高いところからみても、英米両国の人々は中国にとって「歓迎しかねる人物」なのかもしれない。

スナク首相の本当の狙いは

スナク首相の過去1年にわたる対中姿勢は、「一貫性のないものだ」と評価を下げる人もいる。しかし、他国の首脳がさまざまな形で中国への擦り寄りや忖度を重ねて自国の利益を守ろうとする中、強い言葉をぶつけて自国を守ろうとするスナク氏の姿勢は本来、評価されるべきものだろう。

発言内容はどうあれ、スナク氏の最も大きな目的は「いかに中国の”本性”を引き出すか
」ではないかと筆者は考えている。あえて強硬な姿勢を示すことで、中国政府の反発や報復内容を引き出し、いずれは国際的に孤立させることを狙っているのではないか。

スナク首相はこのほど、ロンドンを訪れた岸田文雄首相と共に「円滑化協定(RAA)」を結ぶと発表した。120年前に結ばれた日英同盟が復活との声もあり、対中政策で日英がどんな連携を進めるのか、その意義と展開をしばらく注視する必要がありそうだ。

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