不動産の価格変動周期説は本当か

これまで不動産価格は、15年前後の一定周期で変動を繰り返してきた。そのため、周期的にそろそろ変動する、つまり、「大暴落があるのではないか」と予想している方もいる。

日下部理絵『60歳からのマンション学』(講談社+α新書)
日下部理絵『60歳からのマンション学』(講談社+α新書)

しかし、残念ながら、エリア格差は出そうなものの、少なくても数年程度はマンション価格の高値が続きそうというのが、多くの専門家の共通見解である。

まず新築物件だ。これから売りに出されるマンションは、現在の高値で仕入れた土地や建築資材で造るため、当然なから販売価格も高くなる。そのため、落ち着くのは早くても数年先になりそうなのだ。

既存(中古)マンションも、新築マンションの価格に引っ張られる傾向があり、一定期間はこのまま高値が続きそうである。

いまは新型コロナの影響以外にも、ロシアのウクライナ侵攻、物価高、金利の上昇もあり、市場はさらに読みづらく、判断が難しい。

「価格」よりも大事な「価格に対する価値」

このような局面において、「安価だから」とか、「自分の年収や貯蓄で買えるから」といったことを購入の決め手にすると、価格に対して価値がない物件を割高で購入してしまいかねない。

つまり、物件の価値をしっかり見極めないと、「ダメ物件」を高値づかみしやすい時期が「いま」なのである。

逆にいえば、高くてもそれ相応の価値がある物件ならば、購入後に売ったり、貸したりしやすいし、住み替えや相続などにも対応できる。

相場価格を知るには【ミクロ視点】

高値づかみは、相場価格や過去の成約価格を知ることで回避できる。

SUUMOLIFULL HOME'Sなどの物件情報サイトで、一定期間同じ条件で検索するだけでも見えてくる。

サイトによっては、希望条件を設定すると、新掲載されたら通知が来たりする。簡易的なものではあるが、過去の成約価格が掲載されているサイトもある。

相場観をつかんだら、気になる物件は時間が許す限り内見していただきたい。実際の部屋を直に見ることで、写真や図面だけではわからないことが見えてくる。たとえば、天井の高さ、コンセントの位置、部屋の臭い、景観などである。複数の物件を内見することで、自分が部屋に求める条件もわかってくる。