「球審の詰め寄り方は、まるで佐々木へのイジメだ!」「佐々木はあまりにも不服な態度を出しすぎだ。あれじゃあ球審の印象も悪くなって当然だ」とか。

こういうときこそ、YouTubeの使いどころです。自分のチャンネルを持っている野球解説者たちが、侃々諤々の持論を発信し始めたのです。

ただ、この日、僕は別件の仕事があって完全に乗り遅れてしまい、肝心のシーンを見たのは当日の深夜になってからでした。こうなると、急いで発信しても他の人と代わり映えしない意見になってしまいます。それで、あえて皆さんの既出の意見や報道をすべて見てから、最後発として自分なりの見解を出すことにしたのです。

結局、『里崎チャンネル』での発信は2日後の4月26日でした。

今話題の件について里崎が語る【白井球審】【佐々木朗希】」というタイトルで、「今回の件は本当のところ、誰が悪かったのか」にスポットを当てたのです。このとき僕が出した結論は、こちら。「今回の状況を作ってしまったのは、(キャッチャーの)松川(虎生)選手にも原因がある」

キャッチャー出身ならではの分析

「えっ、そこかよ!?」と驚かれた人もいたことと思いますが、これには当然、僕なりの裏付けがありました。

僕は現役のとき、「球審に寄り添う」対応を心掛けていました。きわどいコースの判定を「ボール!」と言われたときなど、「いやいやいや、今のはストライクでしょうよ!」とあからさまに態度に出すピッチャーがいました。そういう態度を露骨に見せられれば、審判もヒートアップします。そういうときこそキャッチャーの出番なんです。「今のは、半分外れていますよね?」と球審側に立った声掛けをピッチャーに対してしていたのです。

味方のキャッチャーにそう言われれば、投手もそうそう感情的になるわけにはいきません。同様に球審も、癇に障るような態度を不問にしてくれるものです。松川選手にこういう気の回し方ができていれば、事態はそれほど大きくはならなかったんじゃないかと、YouTube内で発言しました。

松川選手は高卒ルーキーです。だから「そんなこと言っても、まだ1年目なんだから、プロのイロハを知るわけないだろう」という反論もあるかもしれませんが、僕はそういうふうには考えません。同じプロなら1年目のルーキーだろうと10年目のベテランだろうと、やるべきことはやらなければならないんです。

ただ、そう言いつつも、僕がどうにもこの一件について気になっていたのは、「これってそこまで騒ぐことなのかよ?」ということでした。よくあることと言えばよくあること。

なぜこのときばかりが騒動になったのかを考えれば、佐々木投手がその少し前の4月10日のZOZOマリンスタジアムで、同じオリックス戦で完全試合を達成していたから、メディアも取り上げやすかったんですね。