太る原因は高カロリーではなく糖質(炭水化物)

これまで、太る原因は、食事で摂ったカロリー(エネルギー)よりも消費するカロリーが少ないことだと考えられていました。カロリーはたくさん摂っているのに運動はしない状態が続くと、余ったエネルギーが脂肪として貯蓄されるという「エネルギーバランスモデル」という考え方が主流でした。

ジーンズのウエストのボタンが閉まらない人
写真=iStock.com/Manuel-F-O
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ところが、近年では、肥満はカロリー過多が原因ではなく、炭水化物とインスリンによってもたらされるという「炭水化物―インスリンモデル(the Carbohydrate-Insulin Model:CIM)」が注目されています。

インスリンが分泌されると、血中の糖が細胞に取り込まれるわけですが、エネルギーとして使われない糖は、中性脂肪につくりかえられて脂肪細胞に取り込まれていきます。つまり、食事で摂りすぎた過剰な糖質は脂肪に置き換わり、蓄えられるということ。

その結果、肥満につながります。さらに、炭水化物―インスリンモデルでは、炭水化物の摂りすぎは空腹を招き、過食をつくると考えます。過食を肥満の原因ではなく、結果として捉えるわけです。

どういうことか説明すると、炭水化物をたくさん食べるとインスリンがたくさん出て、余分なエネルギーは中性脂肪となり脂肪細胞に取り込まれ肥満を引き起こします。そして一度高くなった血糖は大量に分泌されたインスリンにより食後しばらくすると(食後2.5~5時間ほど)、必要以上に下がるのです。炭水化物を過剰に摂れば摂るほど、その後の血糖値の下がり幅が大きくなって、その下がり幅が大きいほど空腹を感じます(*1)。そのため、過食に走ってしまうと同時に、活動量も低下してエネルギー消費も減る。その結果、さらなる肥満を生んでしまうのです。

(*1)Nature Metabolism. 2021 Apr;3(4):523-529.