※本稿は、大脇幸志郎『運動・減塩はいますぐやめるに限る!』(さくら舎)の一部を再編集したものです。
「減塩の目標値」はバラバラ
減塩みそに減塩バターと、塩はとかく悪者扱いされ、塩を減らすのが健康的だと信じられています。厚生労働省も長年にわたって、塩を減らせといいつづけてきました。
これは世界共通の事情で、世界保健機関(WHO)からも減塩をすすめるガイドラインが出ています。
それぞれの言い分によると、塩で血圧が上がり、血圧が上がると心筋梗塞や脳卒中になり、早死にしてしまう。そういうお話になっています。
ところがこのお話、よく見るといろんなところがおかしいのです。
たとえば、減塩の目標値があまりに厳しいうえに、人によってぜんぜん違っています。
厚生労働省は成人男性で1日7.5g、女性で6.5gとしています(注1)。WHOの目標は5gです(注2)。
アメリカのデューク大学のウォルター・ケンプナーという人がおおぜいの患者にやらせていた食事療法では、なんと0.35gでした(注3)。
注1 日本人の食事摂取基準(2020年版)
注2 Guideline: Sodium intake for adults and children.
注3 Am J Med. 1948 Apr;4(4):545–77.
「塩をたくさん食べる日本人」は長生き
じっさいには、日本人は平均で1日10.1gの塩を食べています(注4)。日ごろの食事をこれまでとはぜんぜん違うものに置き換えなければ、こうした過激な目標は達成できません。
注4 令和元年国民健康・栄養調査
そこで不思議なのが、これほど全世界で塩を減らせ減らせといっていて、日本人は塩をたくさん食べているのに、なぜか日本人が長生きだという事実です。
日本人の健康は塩で押し下げられていて、塩を世界標準にまで減らせば、さらに突出して長生きになるのでしょうか?
それとも、塩はそれほど体に悪くないのでしょうか?