米サイトのバズフィードは8月、女優のジェニファー・ロペスさんがステージ上で自身の14歳の子供をジェンダーニュートラルな代名詞で呼び、子供の性自認に寄り添う姿勢を明示したと報じている。

米インサイダー誌は2020年、アンジェリーナ・ジョリーとブラッド・ピットの子供について、その呼び名の変遷を振り返っている。出生時の性別に基づいてシャイロと名付けたが、その後ノンバイナリーな「they」と呼ぶ時期を経て、現在では男性名のジョンの名で呼んでいるようだ。

父親の指を握っている新生児
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彼、彼女ではなく「ジー」

ジェンダーニュートラルな育児はセレブだけでなく広く浸透しており、そこにはさまざまなアプローチが存在する。

経済メディアの米クオーツは2018年の記事のなかで、早くも欧州におけるジェンダーレスな育児の取り組みを紹介している。

それによるとスウェーデンの公立幼稚園では、子供たちが極力性別の区別をしないよう教育に注意を払っているのだという。また、イギリスではジェンダーニュートラルな制服を導入したり、「he」「she」ではなく「zie(ジー)」というジェンダーレスな代名詞を使っても良いと教えたりする学校があるようだ。

より徹底する場合、両親の性別を意識しない呼び方を勧める親もいる。英デイリー・メール紙によると、オーストラリアのある家庭では、「mum(ママ)」や「dad(パパ)」の代わりに両親とも「PomPom(ポンポン)」と呼ばせているという。

ゼイビーを育てている親のなかには、性別の概念をさらに徹底的に回避し、出生時から一貫して性別を隠してしまう人々もいるようだ。子育て情報サイトの米スケアリー・マミーは、医師などを除いて他者にいっさい赤ちゃんの性別を明かさないなど、かなり徹底している人々がいると紹介している。

そのほかジェンダーニュートラルな育児において、子供の知的好奇心を刺激する各種のおもちゃも重要なアイテムのひとつだ。インサイダー誌は、女の子だから人形セットを与えたり、男の子だから青系の服を着せたりといった偏りを避け、バランス良く子供に与えるよう工夫している親が多いと紹介している。

業界にも動きは波及している。フォーブス誌は、米小売り大手のターゲットがおもちゃ売り場の表示を変更し、「男の子向け」「女の子向け」の案内を廃止する計画だと報じている。

将来、子供が自身の性別を選択できるように

熱心にジェンダーレスな育児に取り組む親たちだが、そのねらいはどこにあるのだろうか。見方によってはノンバイナリーであることを子供たちに強制しているようにも思えるが、本来の意図は少し違うようだ。