刑務所の服役ではどんな生活を送ることになるのか。法務省矯正局医師を務めるおおたわ史絵さんは「飲食物の差し入れ、購入は不可なのだが、生活態度に応じて5段階の『優遇措置』が用意されている。模範囚となれば、月2回、嗜好品を購入することができ、受刑者はそれに一生懸命になっている」という――。

※本稿は、おおたわ史絵『プリズン・ドクター』(新潮新書)の一部を再編集したものです。

檻をつかむ囚人の手
写真=iStock.com/Rattankun Thongbun
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7~8回収監された受刑者は珍しくない

刑務所のカルテの表紙には、〈罪状と刑期〉のほかにもうひとつ、〈累犯るいはん○回〉と書かれている欄がある。

これまでに何回収監されたか、を表す数字だ。読者のみなさんの一般常識にのっとれば、「刑務所なんてひどいところ、一度入ったらもう二度とゴメンに決まってるよ」と思われるはずだけれど、実際の受刑者たちにその物差しは通用しない。累犯7回とか8回はざら、10回以上なんてとんでもない者もいる始末。

今は亡き作家、安部譲二氏のベストセラーで映画化もされた『塀の中の懲りない面々』にも描かれていたように、人生の大半を刑務所で過ごす者だっているのだ。そういうベテランは、たいていは組員か覚醒剤関連。ここではまず刑務所に慣れ切ったベテラン受刑者たちの特徴について少し話をしてみる。