最終的に全中国人の90%が感染する可能性も

それにしても、このゴタゴタ感には既視感を覚える。そう、2020年前半の新型コロナに伴う各種医療物資の不足である。マスクや防護服、消毒液の奪い合いが相次いだ。

海外に住む中国人の間には、そうした物資を買い占めて本国に寄付する愛国者もいれば、転売して一儲けした人もいた。そればかりか、転売屋から買い集めた物資を寄付するという転売・愛国一体化というパターンもあって、カオスが極まっていたのであった。その世界が戻ってきたようだ。

コミュニティサイト「RED」より
味はまずいが、効果は高いとの触れ込みで販売中

今後、中国のコロナはどのような展開を迎えるのか。中国の新型コロナ対策専門家グループのメンバーである、中国国家疾病予防管理センター元主任の馮子健氏は6日、北京市・清華大学で行った講演で「数理モデルによると、第一波のピークでは感染率は60%前後に達する。その後、安定期を迎えるが、最終的には全中国人の80~90%が感染するだろう」と発言している。

厚生労働省は、新型コロナウイルスの感染歴を調べる抗体検査を11月6~13日に全国の8260人に実施した結果、全国で26.5%が保有していたと発表している。日本が3年かけて26.5%、それを第一波だけで60%に達するというのは信じられない話である。

ワクチン忌避が強く高齢者の接種率は低いまま

感染者急増の備えとしてネックとなるのがワクチンだ。世間から効果が疑問視されており、中国でも一部からは「あれってただの生理食塩水なのでは?」と揶揄されている中国製ワクチンだが、香港衛生署衛生防護センターによると重症予防効果は確かに認められている。

感染者の死亡率はワクチン未接種で2.45%。それが中国製ワクチンを2回接種すると、0.35%、3回で0.1%にまで下がるという。ファイザーのワクチンでは2回で0.06%、3回で0.02%とのことで差はあるものの、未接種と比べれば雲泥の差だ。

問題はリスクの高い高齢者の接種率が低いこと。80歳以上のワクチン3回接種率は40%程度と低い。高齢者のワクチン忌避が強く接種は遅々として進んでいない。これから強力に推進していくと言うが、感染者が大量にでて医療システムが混乱するなかで、本当に可能なのかは未知数である。

60%が一気に感染してもたいした被害はでないのか、そうした被害を乗り越えて緩和対策を続けるのか、それとも被害を受けて厳格な行動制限に戻るのか。