離婚をめぐっては「相続トラブル」が起きることが珍しくない。なぜなのか。夫婦問題コンサルタントの寺門美和子さんと弁護士の木野綾子さんの共著『別れても相続人』(光文社)より、離婚相続のことがよくわかる5つのクイズをご紹介しよう――。
離婚届と印鑑ケースと朱肉
写真=iStock.com/bee32
※写真はイメージです

「離婚」と「相続」が大いに揉めるワケ

はじめまして。夫婦問題コンサルタントの寺門美和子です。

私が3年3カ月の泥沼裁判の末、19年間の結婚生活にピリオドを打ったのは48歳の時。その後、自らの離婚経験を活かそうと夫婦問題カウンセラーとAFP(アフィリエイテッド・ファイナンシャル・プランナー)、さらには相続診断士の資格を取得して経験を重ねる中で、「離婚」と「相続」、この2つが似ていることに気がつきました。

その共通点は大きく分けて3つです。

①当事者のメンタルが複雑であること

真っ先に挙げられる離婚と相続の共通点は、本人、配偶者、そのほかの家族、それぞれの想いや思惑が複雑に絡み合うこと。

当事者の多くが、意地、憎悪、不安、欲だけでなく、仲がよかった当時の愛情の名残すら入り混じった、複雑なメンタルを抱えることになります。

また、長年生活を共にした夫婦・家族だからこそ、お互いに武器も弱みも丸わかり。ひとたび争いとなると、容赦なく死戦を繰り返すことになるのです。

また、離婚では、夫婦で「子どもの愛」を取り合い、相続では兄弟姉妹が「親の愛」を奪い合う。自分の存在価値がひとたび認められないものならば怒りは3倍増!

この複雑な感情は第三者が理解・整理するのはなかなか難しく、だからこそ夫婦問題と相続のコンサルタントは、やり甲斐のある仕事なのかもしれません。