一般生にもさまざまなプラス効果が――攻玉社中学の英語授業。

一般の生徒への影響はどうか。「引っ張られて英語力が上がる効果は、やはりあると思います」と本間先生。授業は別々とはいえ、行事や学年集会などでは学年単位で行動するし、部活でも一緒。

6人に1人という割合で帰国生がいるだけに、普段の学校生活の中で接触する機会は多い。「英語を聞くこと、話すことに対する心の壁が低いと感じることは多いですね。実際、本校の生徒は大学入試などでもヒヤリングに強いようですし、英文法が苦手なことが多い帰国生に一般生がレクチャーするなど、互いに教え合う関係をつくっているようです」

生徒自身の感想はどうか。「やはり英語力はすごいし、発音も全然違います」と振り返るのは、5年生の清水君(仮名)。彼は中学時代に成績優秀者が集まる選抜クラスにいたが、そこに国際学級から、やはり成績優秀な帰国生が編入されてきたという。「模試で英語の点数だけ負けたりすると、なんとか差を縮めようと頑張ったりもしました」。

そのためか、英語はすっかり得意科目に。現在は国公立大文系クラスで、難関大をめざし勉強に励んでいる。

積極性や社交性など学習面以外でもいい影響が

さらに、学習面以外での好影響もあるという。「自分の意見をしっかり主張したり、仕事を引き受けるときに積極性を発揮したり、社交性がある子が帰国生には多い。その影響は、やはりあります。本校では帰国生の人数が多いので、そういう子が浮いてしまうこともなく、いい形で互いに影響を与え合えていると思います」(本間先生)

渋谷教育学園渋谷、同幕張、聖光学園など、ある程度まとまった数の帰国子女枠を設けている有力進学校は少なくない。そのことが一般枠の生徒にも好影響を及ぼすなら、学校選びのひとつの指針にできるかもしれない。

(宇佐見利明=写真)