東大ローカル化
地方の優秀層には地元国公立大の医学部のほうが魅力的
日本の大学の頂点に立つ東京大学が、「首都圏ローカル」になりつつある?
2008年の入試改革以来、東大の総志願者数は減少傾向。2011年春には前年比200人増の1万2746人と微増したが、それでも08年に比べ約6%も減っている。
一方で合格者の出身地をみると、2008年に48.1%だった東京と関東圏が、2011年は52.1%と過半数に。中部地区や九州・沖縄地区、近畿圏からの合格者は少しずつ減っている。
「灘や東大寺学園といったトップ私立校の合格者数はそう落ちていませんし、進学重点校を置いている県では、県立トップ校から東大へ、という流れが健在です」と、大学通信常務取締役の安田賢治氏は言う。
「しかし、学校群の縛りが強い地方では、かつての名門公立高校でも、東大をめざすような進路指導はもはや難しいでしょう」
東大を出ても就職が保証されない今は、地元の国立大医学部をめざしたり、地元の国立大から県庁や県内の大企業をめざすほうが、将来設計が見えやすい。
「そもそも親が、少子化でわが子を手元に置きたがるんです」とも、安田氏は指摘する。
これで東大入試も少しは楽になるのか?
(宇佐見利明=写真)