新体制では通報に対応してくれるのか
ツイッター社の元社員のヨエル・ロス氏は、特定の中傷フレーズを含む5万件以上のツイートを、300のアカウントが投稿していたとツイートしている。
また、独立系調査機関の「Network Contagion Research Institute(NCRI)」も、買収後に、Nワード(黒人に対する侮蔑語)を含む投稿が平均より500%近く増加したとツイートしている。
買収直後には、トランプ前大統領の「私のアカウントは月曜(10月31日)に戻ると言われた。どうなるか見てみよう」という偽の声明もTwitter上で拡散した。
もともとTwitterではデマや誹謗中傷こそ多かったが、通報すれば対応してくれる期待があった。ところが、今の運営方針では対応するとは限らず、そもそも人員が足りないことでなりすましなどにも対応しきれていないと報じられている。
2大アプリストアから削除の可能性も
結果、多くの企業がTwitterから逃げ出しつつある。ゼネラル・モーターズ、ファイザー、フォルクスワーゲン・グループ、アウディ、大手食品会社のゼネラル・ミルズ、オレオで知られるモンデリーズ・インターナショナルなどの多くの企業が、広告出稿を取りやめた。
もともとTwitterでは属性などを登録しないため、ターゲティング広告は行わない。主にプロモツイートやキャンペーンなどで話題性を作ったり、認知度を拡大するなどの使われ方だった。ところが前述のように誹謗中傷やヘイト投稿などが急増しており、イメージダウンを恐れ、利用が不安視されているのだ。
Twitterの収益源は9割以上を広告に頼っている。マスク氏は広告への依存度を5割未満に下げ、ユーザー課金の割合を高めたいと考えているようだが、どれほど受け入れられるだろうか。いずれにしろ広告の重要性は変わらない以上、広告主に信頼されるプラットフォームを目指す必要がある。
そしてとうとう、ヘイトや誹謗中傷が急増した結果、AppleからはAppストアからアプリを削除する旨の警告を受けたようだ。マスク氏はこの事実をツイートして反発しているが、こうなると、Googleも同様にPlayストアから削除する可能性が出てくる。
アプリにとって、両ストアからの削除はアプリの終了を意味する。アップデートや新規ダウンロードなどができなくなり、Twitterは機能しなくなる。
マスク氏の理想を追求すると広告主に見放され、それどころかアプリストアから削除されるのであれば、最終的には誹謗中傷やヘイトなどを一掃し、健全化を目指さねばならなくなる可能性が高いのではないか。