混乱が続く買収後のTwitter
マスク氏の行った改変は組織、サービス両面に及んでいる。米メディアの報道によると、前CEOのパラグ・アグラワル氏を含む9人の取締役はすべて解雇し、自ら唯一の取締役に就任。その後、なんと社員の半数に当たる約3700人を即日解雇。日本法人も対象となり、特に広報部門はすべて解雇されたという。厳しい勤務条件を突きつけて同意を迫ったため、さらに多くの社員が退社し、執筆現在で当初の3分の1に当たる2700人程度しか残っていない。
ツイートの取り消しや編集機能などが使える有料のサブスクリプションサービス「Twitter Blue」は、月額4.99ドルから7.99ドルへ値上げ。サービスに加入すれば、著名人や企業、ブランドなどの公式アカウントの印であった認証バッジがつくとしたのだ。
認証バッジは、本人認証が済んでいる信頼できるアカウントという意味合いが強かった。ところが、有料サービスに加入すればバッジがつけられるとしたことで、なりすましが横行する状態に。代わりに企業などに「公式マーク」を配布するとしたものの、わずか数時間で撤回。その後、なりすましを防ぐために名前の変更に制限をかけた上で再開している。
「今後数カ月、多くのバカげたことを行うので注意してほしい。機能するものは残すし、機能しないものは変更する」と開き直っており、その後も解雇した社員の一部を呼び戻すなど、混乱が続いている。
誹謗中傷、デマ、ヘイト投稿が急増
Twitterでは、差別やヘイトを規約で禁止している。ところが、なりすましに加えてデマや誹謗中傷が急増中だ。前述のようにお金を払えば認証バッジをつけられるようにしたり、社員を大量に解雇したりしたことの影響が出ているのだ。
買収後、ドラァグクイーンのことを「グルーマー(性犯罪などの目的で子どもや若者を手なずける人物)」と呼びアカウントを停止させられていた格闘家のジェイク・シールズ氏が、買収後に「これがグルーマーだ」とコメントを付けた写真を投稿。「まったく同じツイートをして1カ月前にアカウント停止された。Twitterが自由になったか試してみよう」とコメントした。この投稿は今は見えないが、アカウントは残ったままだ。