ハードとソフトで、欲望を抑え込む

制度というハードな“容れもの”(環境・社会)への制約だけで、民衆の欲望が抑えきれない、とみた家康は、そこで今度はソフト面に目を向けた。つまり、「人間の意識の抑圧」である。

このために、かれはどういう組織力を発揮したのか? 一言でいえば、そのためのかれの組織力は、「その時代に生きていた人々のニーズを逆に抑え込む」ということであった。

その時代に生きていた人々のニーズを逆に抑え込むというのは、ニーズを実現しないということである。ニーズを否定する方向で組織づくりをし、否定されたニーズが頭をもたげようと壁を破り土を起こせないように、壁を厚くし、覆土してしまうということである。

日本人の欲望を抑え込むことによって、「高密度管理社会」といわれる、「幕藩体制」を実現したのである。