幼い頃の記憶がトラウマに

大学を卒業し、福祉系の仕事に就いた佐田さんだったが、職場でのストレスと、日常生活のふとした瞬間に生じるトラウマによって、体調を崩しがちになっていく。

「子供連れの家族を目にしたり、知らない男性の大きい声を聞いたり、障害者の方を見かけたり……。リアルだけでなく、映画やドラマなどで家族の描写があったり、障害者が登場したりなど、自分と関係している・していないにかかわらず、日常生活のふとした瞬間に、幼い頃の寂しかった記憶や怒りの気持ちが突然ぶわっと湧いてきて、とても落ち込んだりイライラしたりするようになっていきました」

特に、障害者に焦点を当てたTV番組は佐田さんを苦しめた。そのため佐田さんは、トラウマの引き金になるようなものは遠ざけ、目にしないように努力する。

ひどく疲れ切った女性
写真=iStock.com/Kayoko Hayashi
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つらい幼少期を思い出すため、両親や兄と向き合いたくない佐田さんは、気付けば4年間、実家に帰っていなかった。

やがて26歳ごろになると、不眠、胃痛、めまい、食欲不振などが出始め、心療内科を受診。「うつ病」と診断され、服薬治療をスタートするとともに、仕事を退職した。