※本稿は、尾形哲『専門医が教える 肝臓から脂肪を落とす食事術』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
一見健康そうに見えるスムージーや乳酸菌飲料のワナ
私が担当する「スマート外来」には、肥満や脂肪肝、糖尿病からの脱却を目指し、ダイエットに励もうとする患者さんが訪れます。食べすぎ、運動不足、ストレス太り、昔と食べる量が変わっていないのに太った……と、事情はひとそれぞれ。
でも、いくつかのルールを守っていただくことで、3カ月で約5kgの減量を実現しています。その成功率はなんと8割。今回は、お酒は飲まないし、健康に気をつかってきたにもかかわらず脂肪肝となり、ダイエットに励んだAさん(当時42歳)のエピソードを紹介します。
Aさんは13年前に出産してから体重が14kg増加。身長158cmで体重66kg。体脂肪率は34%。BMIは26.44で軽度の肥満という状態でした。家族の健康も気にかけて、朝食は玄米シリアルや、野菜とフルーツのスムージー、腸内環境をよくするという乳酸菌飲料などを摂るのが日課だったそう。そんなAさんに指導したのは、肝臓から脂肪を落とすために、体にいいと謳われるドリンク類をいっさいやめることからでした。
糖質は増えすぎると中性脂肪という形でため込まれる
ここからはAさんとの診察室でのやりとりを通じ、飲料を正しく選ぶことの大切さをご理解いただければと思います。
【尾形】肝臓にたまる脂肪のうち、食事から摂った脂や肉や魚などの脂が直接影響するのは、わずか14%にすぎません。残りの86%は、体についている皮下脂肪と内臓脂肪が溶け出した脂が60%で、糖質から肝臓で合成される脂肪が26%です。
【Aさん】あの、先生。糖質って体の中でエネルギーになって使われるんではないのですか? 脂肪との関係がよくわかりません。
【尾形】糖質は私たちが活動するために重要なエネルギー源になるものです。でも、体の中で糖質が増えすぎると、肝臓はそれを中性脂肪という形でため込むんです。いざというときのために。
【Aさん】いざというときとは……?