「おまえが今してる仕事はワシらでもできるけど…」大悟の一言

直後のステージは超満員で、大爆笑の大盛況。歌って、踊り、しゃべるオンステージは「楽屋オチ」も「一発ギャグ」もない彼女だけの舞台。

アジア人コメディアンに涙を流して笑うニューヨーカーたちを、僕は初めて見た。

2021年、ついに彼女は移住者としてこの街にやってきた。そして3度目のインタビュー。移住を決定するきっかけは、同じ事務所の先輩である千鳥の大悟さんから何気なく言われた一言だった。

「おまえ、行かへんのかー」

前述した通り、ニューヨークで吸収したことを日本での活動に活かすことが目的だった彼女は、この時点で移住する予定はなかった。

「おまえが今してる仕事はワシらでもできるけど、海外(での活動)はワシらにはできへんからなぁ」

タイムズスクエア
写真=iStock.com/AndreyKrav
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コロナ禍でニューヨークが沈んでいるからこそチャンスだった

それを聞いた時に、頭をカミナリで打たれた感じだったと言う。

「そっか。(海外での活動は)子供の頃からの夢だったしなぁ」と彼女の心の声がまた囁やいてきた。

当時は、ニューヨークが「世界一のコロナ被害の街」と連日、報道されている時。周囲の人間のほとんどに引き止められた。

「もう少し落ち着いてからにしたら?」
「今、行ったところで得るモノはないんじゃない?」
「(コロナ禍で)ニューヨークってもう死んでいるらしいよ」etc……。

「だからこそ、チャンスだと思ったんです」。彼女はまっすぐにこっちを見て言った。そんな状態のニューヨークを見ることは、おそらくこの先ない。

「ニューヨークが死んでいるなら、一緒に生き返ろうって」そしてニューヨークへ行くことを決意した。留学でもなく、ツアーでもなく、移住して活動することを。彼女はコロナ禍という時代すら無視して、自分の心の声に従ったのだった。