YouTuberの意見を聞いて会社を辞めてしまう人たち

さて“ポジションを取る”ことの重要性・必要性についてはご理解いただけたと思いますが、それらはあくまで自分自身の考えに基づいて行う必要があります。他者の意見、ましてや素性もしれない人の意見を鵜呑みにするなどもってのほかです。

スマホの登場、通信インフラの発達により全ての人がインターネットに繋がり、あらゆる情報を受け取れるようになったのと同時に、これまで伝統的メディア(新聞・ラジオ・テレビ)に限定されていた“情報を発信する”という機能が全ての人に解放されました。

これによって誕生したのが、様々な領域において影響力のあるオピニオンリーダー、今風に言えば“インフルエンサー”です。旧来の伝統的メディアの守備範囲が、政治・経済・スポーツといった主要なドメインであったのに対し、今やインフルエンサーはあらゆる領域に存在しています(コスメ、グルメ、キャリアなど)。

結果として“なんとなく正しいことを言ってそう”な第三者の発言を、盲目的に受け入れる人が増えたように感じています。投資の世界では、投資を行うにあたり投資対象となる企業や投資先のことを必ず調査しますが、これをデューデリジェンスと言います。

デューデリジェンスなき投資が危険極まりないことは容易に想像いただけると思いますが、インフルエンサーの意見を盲目的に信じることも、これと同じようなリスクを孕んでいます。

例えば、レストランであれば「インスタで話題の○○」や「食べログ有名レビュワーの××さんが推していた△△」などと紹介されることが多いですが、「話題になっていたから良いものである」「××さんがおすすめしていたから美味しい」など、自分で確かめもせずに他者の意見を鵜呑みにしてしまう人がたくさんいます。

スマートフォンでビーフステーキの写真を撮る
写真=iStock.com/ymgerman
※写真はイメージです

冒頭でご紹介した、後輩とのエピソードにもあるようにキャリアについても「YouTuberの××さんがこれからはフリーランスで稼ぐ時代が来ると言っていたから」というただそれだけの理由で、実際に会社を辞めてしまう人まで見受けられます。

このように他人の価値判断に依存した意思決定が当たり前になっている現在の風潮に、私は強い違和感を覚えます。これらは顕著に非投資思考的な考え方です。

どんなレストランが優れているかは訪れる人の食の好みに寄りますし、稼ぎに釣り合わないほど高額な店に行っても会計金額が気になって味どころではありません。キャリアであればなおさらで、各人の人生の目指すところによって理想の働き方も企業選びも異なるはずです。

成功を掴むために必要不可欠なプロセス

投資で市場を大きく上回るリターンを生み出す(ベンチマークを上回るともいう)類型の1つが「多くの人が気づいていないことに、自分だけが気づいている」というものです。

世の人が気づく前に、自分だけがその隠れた価値に気づいたタイミングでポジションを取るとどうなるでしょうか。後から追いかけるようにポジションを取った人々が、あなたのポジションを勝手に押し上げ、利益をもたらしてくれるのです。

このために必要なのは自分自身の頭で考えて価値を見極め、ポジションを取り、そしてその結果もまた自分自身が受けとめること。成功を掴むためにはこのプロセスが必要不可欠なのです。

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