出場コストは10万円超、これがランニング界の“新常識”

10年前と比較して、現在のランニングシーンはどう変わったのか。

最新ウエアに身を包み、マラソン大会に出場すると仮定しよう。ザックリ以下の金額がかかる(※記載している商品の価格はすべて税込み)。なんと、シューズとウエア類だけで10万円オーバーだ。

・シューズ=約3万円
・ソックス=約2000円
・ロングタイツ=約2万円
・Tシャツ=約4000円
・GPSウォッチ=約5万円
合計約10万6000円

まずはシューズの進化が大きい。ナイキが2017年にカーボンプレート搭載の厚底シューズを登場させると、タイムが大幅短縮。他社も高性能シューズを続々と発売している。

その結果、シューズの価格が急上昇。10年前は上位モデルでも1万5000円ほどだったが、現在は3万円前後になっている。

各ブランドの最高峰モデルは次の通り。アディダスの『アディオス PRO 3』は2万6400円、アシックスの『METASPEED SKY+』とプーマの『ファストアール ニトロ エリート ファイアーグロー』は2万7500円、ミズノの『ウエーブデュエルPRO』は2万9700円。ナイキの『エア ズーム アルファフライ ネクスト% 2』なら3万1900円だ。

シューズほどの劇的進化はないが、ソックスとロングタイツも機能性がアップしている。ソックスでいうと、靴下専業メーカーであるタビオの『レーシング ラン ナノグリップ 五本指』は2200円。アーチ(土踏まず部分)が崩れないようにサポートしており、グリップ性も高い。

ロングタイツは市民ランナーに根強い人気を誇るCW-Xの最高峰モデルは2万900円。独自のテーピング原理を応用して、腰から脚までをフルガード。筋肉の疲労を軽減してくれる。Tシャツは速乾性素材のもので4000円ほどだ。

それからウオッチ。タイム計測がメインのスポーツウオッチは1万~2万円だが、近年はGPSウオッチが普及している。ガーミンのシリアスランナー向け最高峰モデル『Forerunner 955』は7万4800円、チャレンジランナー向けの『Forerunner 255」は4万9800円。スントの軽量GPSウオッチ『5 PEAK』は4万3890円だ。それからアップルウォッチの最新セルラーモデル『Series 8』は7万9800円になる。いずれも距離やペースだけでなく、心拍数も測定できる。

他にロングタイツと重ね着するための短パン(約4000円)、寒い日はアームウォーマー(約2000円/着圧タイプなら約6000円)、手袋(約2000円)、ネックウォーマー(約2000円)。それから日差し対策のキャップ(約3000円)とサングラス(約1万円)もあった方がいい場合がある。スマホを持参するならランニングポーチ(約2000円)も必要だ。

ゼッケンをつけたシニアランナーたち
写真=iStock.com/kazunoriokazaki
※写真はイメージです

アイテムにこだわれば、シューズとウエア類だけで15万円近くになるだろう。シューズやウオッチは高価なものでなく自分が持っている安価なもので十分だが、それでも、せっかくの晴れの舞台だ。出場コストに数万円はかかるに違いない。マラソンはいつの間にか“セレブ感”あふれるスポーツになっているのだ。さらに忘れてはいけないのが、大会参加費だが、こちらも驚くほど高騰している。