「東洋医学を見直そう」は時代遅れ

同じように、「西洋医学にはわからないことがあるから東洋医学を見直そう」といってはりだの薬草だのをありがたがる向きもありますが、これは少なくとも50年ほど時代遅れの考えです。

たしかに鍼で腰痛は軽くなりますし、麻黄湯まおうとうはインフルエンザによく処方されます。

そうした効果には西洋の医者たちがとっくの昔に飛びついてせっせと研究し、拾えるものは西洋医学の体系に取り込んでしまっています。

欧米のクリニックで鍼を打っているところはたくさんあります。漢方薬の成分についての研究も進んでいます。

数多くの漢方薬に甘草かんぞうという生薬しょうやくが含まれているのですが、甘草の有効成分のグリチルリチン酸は、もともと人体が作っているステロイドホルモンと似た作用を持っています。

つまり漢方薬の効果はステロイドの効果だったのです。

その関係がわかったことも、東洋医学を取り込む試みの成果です。

漢方
写真=iStock.com/onlyyouqj
漢方薬の効果はステロイドの効果だった(※写真はイメージです)

「効かない治療」が続けられるワケ

西洋とか東洋とかとは関係なく、医学全体が、わからないことだらけのなかで、なんとなく効いていそうなものは続け、効いてなさそうなものはやめるという繰り返しによって成り立っています。

この「効いていそうなものは続け、効いてなさそうなものはやめる」というルールを小難しく「エビデンスに基づく医学」といい換えるのが最近のトレンドですが、べつに変わったことではありません。

たんに1980年代までの医学にはあまりに「効いていなくても続ける」ことが多かったので、見直しをしようという運動が一時盛り上がっただけです。