「毎年借金が膨らむ日本は近い将来財政破綻するのでは」と心配する人がいる。経済アナリストの森永康平さんは「日本が財政破綻することはない。日本は過去に財政破綻したギリシャとは置かれている状況がまったく異なる」という――。

※本稿は、森永康平『「国の借金は問題ない」って本当ですか?』(技術評論社)の一部を再編集したものです。

散らばったモノクロの一万円札
写真=iStock.com/itasun
※写真はイメージです

「財政破綻」とは債務を履行できなくなること

【森永】日本の財政破綻があり得るかどうか考えていきたいと思いますが、その前に中村くん、そもそも「財政破綻」ってどういう状態かわかりますか?

【中村】ええと……借金を返せなくなること……?

【森永】正解です。専門的にいうと「債務不履行」ですね。債務(借金)を負った人が債権者(お金を貸した人)に対して、返済義務を履行できなくなる(借金を返せなくなる)ことを指します。また、債務には利息がつきますので、その利払いができなくなることも「財政破綻」と言えるでしょう。ではもう1つ質問です。過去に財政破綻した国で、ギリシャとレバノンがどのような理由で破綻したかわかりますか?

【中村】ギリシャは欧州中央銀行(ECB)に対するユーロ建て、レバノンはアメリカに対するドル建てという外貨建ての借金で破綻したんですよね。

【森永】その通りです。よく理解できています。

日本銀行が発行する通貨で日本が財政破綻することはあり得ない

それではここから、日本について復習しましょう。日本政府が発行した国債は誰が何で買うと説明しましたか?

【中村】民間銀行が、日銀当座預金で買います。

【森永】そうです。日銀当座預金は民間に絶対に出回らない種類のお金ですが、通貨単位は「円」で共通です。また発行者は日本銀行です。自国の中央銀行が発行している通貨で、日本政府が債務を負って、その債務が不履行になると思いますか?

【中村】い、いや、ならないと思います……。

【森永】そういうことです。日本政府が円建ての日本国債で財政破綻を起こすことはまずあり得ません。これが答えです。ここから、日本の財政破綻が起こらない理由をより詳しく解説していきます。