有給休暇なんてありえない

また、サラリーマン時代は上から降ってきた仕事をこなす状況だったとしたら、独立後は、前職の会社が仕事を取るためにいかに経費をかけていたのかが分かるでしょう。顧客開拓のための交流会等への参加費や飲み代などの営業費、ウェブサイトの制作や運用維持、Web広告やチラシなどにかかる広告費など、さまざまな経費がかかっています。

ただ、これらの費用をかけたところで仕事が来る保証はありません。それでも仕事が来ると信じて自分自身で営業費、広告費に資金を投じることを経験すると、何もしなくても上から仕事が降ってきていたことのありがたさを痛感するでしょう。

ましてや有給休暇として働かなくても収入が発生する日があるというのは、独立後は考えられないことです。

サラリーマン時代の収入と比べてはいけない

「独立して収入が2倍に!」といった記事や広告等を見たことがある方もいらっしゃるかもしれません。ただ、こういう言葉を見た時、それだけの収入を得るためにどれだけの経費がかかっているのかが気になるところです。

私がお話をうかがった方々のなかには、収入は2倍以上になったものの、収入とほぼ同額の経費が生じていて利益はほぼなく、手取りは激減したという方もいらっしゃいました。そのため、サラリーマン時代の収入と独立後の収入を単純比較するのは危険だといえます。

サラリーマン時代の収入と比較するのであれば、それは独立後の収入から経費を差し引いた後の金額と比較するべきです。

また、サラリーマン時代は未経験の仕事でも上司が指導してくれて、分からないことがあれば教えてくれます。必要な知識を得るための書籍やセミナー等に関わる費用は会社が負担してくれたりもします。それでいて給料までもらえる。つまり、「お金をもらいながら育ててもらえる」状況だったわけです。

ところが、独立すると指導してくれる人はおらず、必要な知識は自分でお金を払って手に入れなければいけません。そのため、「お金を払ってでも成長していかなければならない」状況になります。

お金の問題に苦しむ男の画像
写真=iStock.com/takasuu
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さらに言えば、会社勤めには仕事仲間がいることも恩恵だと言えます。独立後、従業員を雇う余裕がなければ、一人で仕事をすることになります。その状況が長く続くと寂しさがつのり、一緒に働く仲間がいることがいかにありがたいかを感じる人もいます。