起業や独立を考えている人は、どんなことに気を付けるべきか。経営心理士で公認会計士の藤田耕司さんは「会社を辞めると、さまざまな経費が自己負担になり、収入は増えても手取りは大きく減ることもある。会社員であることのメリットを理解しない安易な独立はお勧めできない」という――。
独立して初めてわかる前職の恩恵
私は経営心理士、公認会計士として、心理と数字の両面から年間100件超の経営相談に乗っています。その中で独立の支援をすることも少なくありません。コロナ禍によってリモートワークが普及したことで、場所を問わずビジネスができるようになったこともあり、独立のご相談が増えていると感じます。
私自身も独立し、その支援を行っていますが、独立はさまざまな能力が求められるため、数多くの成長の機会が得られるものです。多くの方は独立前と比べて、独立後はずいぶんたくましくなっていかれます。顔つきや雰囲気まで変わる方もいらっしゃいます。そのため、独立の支援はとてもやりがいを感じるものです。
その中で、大手企業から独立した方が、独立して分かった前職での恩恵について話されることがあります。この話は独立をするかどうかの判断の精度を上げるものですので、独立を考える方にはぜひ知っておいていただきたいと思います。
会社が負担してくれていたさまざまな経費
まず、サラリーマン時代は次のような会社が負担してくれていた経費を、独立すると全て自分で負担する必要があります。
・オフィスの賃料
・部下の人件費
・電話代等の通信費
・PCや机、椅子、コピー機等の設備費
・電車代等の通勤費
・タクシー代や新幹線代、宿代などの旅費交通費
・名刺や文房具等の消耗品
・コピーのトナー代や用紙代
・営業のための接待交際費
・HPの制作、運用費
・集客のための広告費
・研修の受講費
・資格保持者は資格の年会費
・部下の人件費
・電話代等の通信費
・PCや机、椅子、コピー機等の設備費
・電車代等の通勤費
・タクシー代や新幹線代、宿代などの旅費交通費
・名刺や文房具等の消耗品
・コピーのトナー代や用紙代
・営業のための接待交際費
・HPの制作、運用費
・集客のための広告費
・研修の受講費
・資格保持者は資格の年会費
独立すると当然のことながら収入は保証されず、収入が0になる可能性もあります。その状況で上記の費用を払うことを経験すると、前職での恩恵の大きさを実感します。
また、従業員を雇う場合は、毎月の給与に関して源泉所得税と社会保険料を計算し、額面額からこれらの額を控除した後の金額(いわゆる手取り額)を支払い、年末には年末調整を行います。そして、年に一度、税務申告書を税務署に提出する必要があります。
これらの作業を税理士に依頼する場合、税理士報酬を支払う必要があります。この報酬は年間数万円から数十万円、大手企業だと数百万円払っているところもあります。