学校にも家庭にも居場所がなかった

僕は幼少期から発達障害の特性によって人とコミュニケーションを取るのが苦手で、クラスに馴染むことができずによくいじめられていた。両親が不仲なことから家庭の居心地も悪く、どこにも居場所がなかった。

家族から離れるために全寮制の私立中学に進学したものの、またしてもクラスメイトや先輩にいじめられて不登校になり、公立中学へ転校した。家庭にも学校にも居場所がないまま高校生になった僕は、夜の街を彷徨さまよう生活を送るようになった。

東京の夜の交差点
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「僕の居場所はどこにもないし、誰にも必要とされていない。僕はこの世界にいなくても良い人間なんだ。」

そんな僕が勉強に集中する余裕があるわけもなく、また、勉強する意味もわからず、ますます苦手意識が強まるばかりだった。

「人生を変えたい」と大学進学を目指し猛勉強

この状況が一変するきっかけは、大学に進学するために猛勉強を開始したことだ。

学びたいことが見つかったこと、そして何より自分の人生を変えたいと思ったことから、大学進学を志したのだ。2年間の浪人生活を経て、なんとか1校だけ受かった大学は、さまざまな人との出会いや経験に溢れていた。多くの人の優しさに触れ、僕は「生きていていいのだ」と実感できるようになった。10代の頃は苦手だった勉強についても、入試に向けて塾で受験勉強を頑張ったことで、少しずつ「勉強のやり方」がわかってきた。

「自分に合う勉強法を知れば、全く勉強をしてこなかった不良の僕でも学び直しはできるのだ。」

無事に合格した時、このように思ったことを鮮明に覚えている。