ラブコメ史上最高傑作といえる作品
そして、まったく迷うことなく、即答できるのが1位だ。
第1位 杓子定規で努力を惜しまない女と屁理屈武装の怠惰な男 杏・長谷川博己
月9で最も好きな作品で、ラブコメ最高傑作と思うのは『デート』(2015年)。
杏が演じたのは、結婚を目標に猪突猛進する国家公務員の藪下依子。賢さや真面目さ、ダサさや頑固さがすべて魅力的。あそびや余白がない女性がこんなにも可愛らしく、愛おしく感じたのは初めてかもしれない。甘さや媚びを感じさせない杏が適役だったし、比類なき月9ヒロインとして歴史に名を残すべきだと思っている。
一方、長谷川が演じたのは、一生働かずに生きるために結婚相手を探す自称高等遊民の谷口巧。口だけ達者な怠け者も、ここまで開き直ると逆に崇高に。腹立たしさもあるが、弱さや脆さを自覚しているせいか、なんだか微笑ましくもある。
不器用きわまりない恋愛不適合者のふたりを、親や友達や恋敵がなぜか支えて温かく見守っちゃう。笑って泣けて切なくて愛おしいと思えた傑作だった。
人それぞれの月9考、月9観がある。今後会う人にはいちいち「月9マイベスト」を聞いてみようかな。その返答次第で、月9の真価がわかるかもしれない。