買い手の参入しづらいキャリアを作っていないか

例えば、車の購入です。

4シートのセダンタイプで、色も黒やシルバーなどの一般的なもの、特に変わったカスタマイズを施していない車であれば、中古車市場にも買い手は十分に存在し、リセールする際も値下げ幅は少なくて済みます。

一方で2シートの赤いオープンカーなどを買ってしまうと、その時点で家族連れの購入対象からは外れ、さらに目立ちたがりの人以外からは避けられることが容易に想像できます。結果として買い手は少なくなり、オーソドックスな車と比べてリセールバリューは低く抑えられてしまいます。

そして、キャリアについても同様のことが言えます。個別具体の判断は全てのケースにおいて存在しますが、基本的に多くの労働者は履歴書・職務経歴書から選考がスタートします。

この時に、買い手となる企業が手をあげやすいレジュメ=流動性の高い人材ということになります。

例えば、特定の大企業A社に所属し様々な部署を異動、社内の制度や仕組み、人間関係を隅から隅まで知り尽くしている人がいたとしましょう。この人は流動性が高い人材ということができるでしょうか?

答えはNOです。A社にとっては価値の高い人材であることは間違いありませんが、その他の全ての会社にとっては価値を見出しづらく、買い手の参入しづらいキャリアを作ってしまっていると言えます。

このように投資思考に基づけば、自らのキャリアを考える際にも流動性を意識することが推奨されます。

電卓を用い、計算する男性の手元
写真=iStock.com/Liubomyr Vorona
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