今の仕事が「天職」でない確率は37%
この法則を、人と人の出会いに置き換えてみます。誰か見知らぬ異性と出会ったときに、その人と交際してもいいかどうかという判断基準は通常、顔の好みや性格、趣味などでしょう。しかし、その条件がどんなに多くても先の法則に従えば、まったく一致しない確率は約37%にすぎません。
四捨五入すると4割の異性とは交際することができないけれど、6割以上の相手は自分が抱く基準の少なくとも1つはピッタリ合うことになります。100人の異性に会ったら、そのうち63人は何かしらの共通の価値観があり、「いいね」と思える要素があるとも言えるでしょう。
この法則が応用できるのは恋愛だけではありません。頼りがいがある、評価が公平など、自分に「理想の上司」の条件がいくつかある場合、現在の上司が少なくともそのひとつにあてはまる確率は約6割あります。同様に、今の仕事が「自分の天職」の条件に少なくとも1つが該当している確率も、6割あるのです。
でも、「一致するのが少なくとも1つだけ」では到底満足できないという現代人はたくさんいるでしょう。前出のカードの話で言えば、13枚中少なくとも2つが一致する確率は約26%しかありません。1枚のときと比べ、確率はガクンと落ちるのです。ちなみに13枚すべてが完全に一致する確率は62億分の1。こうなったらもはや天文学的な数で、可能性はほとんどゼロです。
何ごとも欲張ってはいけません。
「何か1つだけ一致すればいい」。それくらいのゆとりをもって恋愛や仕事に向かえば、幸運は6割の確率でやってきます。「人生六分四分」という前向きな気持ちこそが、幸運への近道なのです。
(構成=大塚常好 撮影=上飯坂 真)