スポーツ新聞では故人の宗旨は関係なく一律「天国」

毎日新聞のように正確な表記例は稀有だ。近年の著名人の死去を報じるにあたって、一部マスメディア、特に派手な見出しが踊るスポーツ新聞では、故人の宗旨は関係なく、一律に「天国」としているのが実情である。いくつか紹介しよう。

石原慎太郎氏 2022年2月1日に死去

デイリースポーツ 見出し「天国の裕次郎さんのもとへ」(2022年2月2日付)

石原家は、逗子市にある曹洞宗寺院の檀家だ。石原氏には「海陽院文政慎栄居士」との戒名が授與されているため、石原氏の死後を述べる際には、仏教表記である「浄土」などがふさわしい。新聞社には、校閲部門がある。「天国」が見出しに使われる際、校閲記者の指摘はなかったのか、不思議である。

藤子不二雄(A)氏 2022年4月7日に死去

スポーツ報知 見出し「藤子不二雄(A)さん死去 数々の名作を残し天国へ」(2022年4月8日付)

藤子不二雄(A)氏こと、安孫子素雄氏は富山県の曹洞宗光禅寺の長男に生まれ、死後も同寺に納骨されている。紛れもなく、藤子不二雄(A)氏は仏教徒である。なので、やはりスポーツ報知の表記も誤記といえる。

暗闇の中で燃えるたくさんのろうそく
写真=iStock.com/FabrikaCr
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さらに、近年のスポーツ紙の「天国」見出しを列挙しよう。

・サンケイスポーツ「緑の着物で天国へ 桂歌丸さん葬儀営まれる」(2018年7月11日付)
・サンケイスポーツ「昭和の名優、津川雅彦さん死去 愛妻・朝丘雪路さん追うように天国へ」(2018年8月8日付)
・日刊スポーツ「ジャニーさん天国へ 87歳」(2019年7月10日付)
・スポーツ報知「梅宮辰夫さん天国へ 友人が弔問 梅宮アンナ憔悴」(2019年12月14日付)
・サンケイスポーツ「ノムさん(野村克也氏)、さようなら… ヤクルトユニフォームで天国へ」(2020年2月12日付)
・スポーツ報知「チャーリー浜さん 78歳天国へ」(2021年4月22日付)
・日刊スポーツ「笑福亭仁鶴さん 天国へ」(2021年8月21日付)
・日刊スポーツ「(三遊亭)円楽さん天国で『圓生』名乗る」(2022年10月2日付)