入湯税に加えて、宿泊税を徴取することを熱海市は検討している。
2022年3月時点で宿泊税をすでに導入している地方自治体は、東京都、大阪府、福岡県(福岡市、北九州市は独自税率)、京都市、金沢市、倶知安町だ。例えば、東京都の場合、宿泊料金が1人1泊1万円未満の宿泊には課税されず、1人1泊1万円以上1万5000円未満は100円、1万5000円以上は200円となっている。
国民の負担はかなり重くなっている
入湯税に加え、宿泊税を課税するとなると、温泉施設のある宿に宿泊する者にとっては二重課税と映る。同市の宿泊客は温泉に入ることを目的に宿泊施設を利用しており、宿泊と入湯は一体の行為だろう。
齋藤栄・熱海市長は、「熱海に泊まり、温泉に入ることが目的の客からすると、一連の行為の中で2回課税されることとなることから、二重取りではないかといった指摘はもっとも」とした上で「地方税法上の整理では、宿泊税と入湯税は納税義務者(宿泊者と入湯客)、課税客体(宿泊行為と入湯行為)、課税標準、宿泊日数と入湯日数が異なるものであり、問題は生じないと考えている」(筆者要約)とした(熱海市議会2018年9月定例会10月10日)。
財務省が発表した令和4年度の租税負担率と社会保障負担率を合計した国民負担率の見通し推計によると、国民負担率は46.5%となっている。これは国民所得に占める税金+社会保障費の負担割合を示したものである。
その内訳は、租税が27.8%、社会保障費が18.7%である。社会保障費は第二の税金とも言われる。サラリーマンにとって、源泉徴収や社会保障費はかなり大きく、「天引き」額の大きさに嘆いている人も多いであろう。ここで述べたような課税側の「屁理屈」にもみえる二重課税問題についての関心も今後高まってくるに違いない。