Q 給料や地位で同期と差がついてしまった
上村光弼●エンパワーリング代表取締役、メンタル&コミュニケーションコーチ。1962年、大阪府生まれ。大学卒業後、92年より日本メンタルヘルス協会にてカウンセリング・ゼミ講師を務める。著書は『一流の部下力』ほか多数。

上村氏回答 会社の組織はピラミッド構造になっていて、ポジションが上になればなるほど人数が少なくなる。そういう構造の中で、ポジションと給料の額だけで考えると、ごくひと握りの勝利者と大半の敗北者という図式が成立する。特に40代になった頃から、管理職または役員になれる人・なれない人がはっきり見えてくるから、前述のような悩みを抱く人が増える結果となる。

40代といってもまだ前半なら、定年まで20年弱の時間が残されている。この年代の方にお勧めしたいのは、「自分はどういう存在になりたいのか」という20代の項で述べた問いを改めて考え直してみるということである。若い頃なら仕事上の人間関係は上司と同僚くらいなものだが、この年代になると、他部署、取引先、顧客、協力会社、株主と相当広くなっているはずだ。

この問いに対して、多くの方は自分が周囲の人に対してポジティブな存在でありたい、と思うことだろう。わかりやすくいうと、「あなたのお陰で」という評価をもらうということである。その内容は、部下や後輩からは「仕事をおぼえることができた」、上司からは「信頼して仕事を任せられた」、顧客からは「安心して商品を購入できた」かもしれない。これはある意味では、ポジションや給料が上がる以上の喜びではないだろうか。

「いや、そんなことより出世とお金が欲しい」と言う人は、「愛が足りない」のかもしれない。愛ではわかりづらいなら、「貢献心」という言葉をおいてもいい。