これだけのスクープだから、続報があると思ったが、女性自身は次号で、なぜかそのことにまったく触れていなかった。この情報を後追いする週刊誌もほとんどなかった。

おかしいなと思っていたら、サンデー毎日(9/11日号)で、元毎日新聞の皇室記者だった森暢平成城大学教授が、「佳子さま『歯科医交際』の『女性自身』は偽情報」だと書いのである。

女性自身を基に書いた行いも同罪である

森教授は、

「佳子さまと若手歯科医の『交際』の事実は全くない」
「複数の関係者に確認し、佳子さまと若手歯科医Aさんは恋人関係にない、とはっきり断言できる。佳子さまは、Aさんの父親である院長に歯の治療をしてもらっていただけだ」
「そもそも『女性自身』が撮影した写真で、お見送りするのは院長夫妻だけだ」
「これは報道被害である。(中略)少し取材をすれば、佳子さまとAさんが恋人関係にないことや、ご訪問が治療目的だったことはすぐに分かるはずだ」などなど。

その事実をつかめなかったとしたら『女性自身』は取材不足だし、知っていて書いたとしたらフェイクニュース生産機関と批判されても仕方ないと、手厳しく批判したのだ。

ここまで断定的に書いているのだから、森教授は、宮内庁筋か秋篠宮家かは分からないが、確たる証拠をつかんだのであろう。

私も女性自身の記事を基にしてプレジデントオンラインに書いたから、私が批判されているように感じ、身を縮めて読んだ。

もちろん、なぜ見送りの写真に夫妻だけしか映っていないのか、宮内庁は事実でないなら反論すべきであり、沈黙しているのは認めたことにならないかと書いてはいる。だが、内容は、もっぱら女性自身の記事が事実だとしたらというのが前提である。間違った情報を流したとすれば同罪である。

週刊誌記者の取材力は格段に良くなっているが…

皇室物だけではないが、週刊誌報道をベースにして書くことは、なにがしかのリスクを伴う。

もちろん、週刊誌の記事のほとんどが嘘などというのではない。私が現役の頃より、週刊誌記者たちの取材力は格段に良くなってきているし、編集力も上がってきている。

だが、週刊誌の基本は「噂」である。事件化する前の噂の段階から取材を始め、新聞、テレビにはできないスクープをつかむこともある。噂にもなにがしかの事実が含まれているからだ。

だが、どうしても噂のままで、確たる事実をつかめない時が、当然ながらある。

そこで諦めるか、噂として書くか、事実であるかのような思わせぶりな記事を書くか、編集者は悩むのである。