20年前は笑いに変えられる明るさがまだあった
ポストが削減されている現在、実際には「高スペック男性」は部長まで昇進できればまだいいほうですが、彼らの中には社長は無理でも、せめて役員にはならないとダメという認識の人も少なくない。だから、高スペックは、どこかで終わってしまう期限付きのものなんですね。高スペックの期限に気付いていない男性たちを前にしても、取材者という立場上、何も言えないことをいつももどかしく思っています。
15年前に『男はつらいらしい』を刊行したときは、取材相手の男性に怒られながら取材する大変さがあった一方で、文字にしてみると、男性からもクスっと笑ってもらえるような明るさがまだありました。
ですが、現在は最悪、男性が孤独死する状況が明日にでも待ち受けている状況なわけです。男性も年齢が上がれば上がるほどマッチングの可能性が低くなってしまいますし、自信もやる気もなくなり、最終的には孤独感に苛まれながら、周囲から孤立してしまいかねない深刻さをとても危惧しています。それでも、次にお会いしてインタビューするときには状況が良くなっているかもしれないと願いながら、取材を継続しています。
(構成=佐々木ののか)