バイアグラが超スピードで認可、ピルは認可に9年
少子化問題はもはやまったなしの状況にある。
そのため多くの政治家は街頭などでマイクを握れば、「日本では少子化が進み、特に地方では……」と始めるが、有効な手立てを提案できる議員は少ない。なぜなら、彼らはほとんど男性であり、子どもを産まないがゆえに、子どもを作る行為に関心はあっても、産む行為には関心は薄いからだ(男性議員にも、もちろん産む行為や育てる行為に関心が高い議員もいるが、筆者が見てきた男性社会の政界の中で、決して大多数ではない)。
バイアグラが超スピードで認可された日本でピルに関しては9年も認可に月日がかかったことは政治分野における女性の参加が進んでいない、いかにも日本らしい政策決定だ。
産みたいのに産めないと悩み、中絶という選択をせざるを得ない女性たちに寄り添う心があれば、1日約400件も日本のどこかで行われている中絶を思いとどまらせ、産むという選択へと結びつけることができるかもしれない。
中絶は、都市部に多く、地方が少ない。そう考えている人が多いだろうが、実際は違う。実は日本全国でまんべんなく行われている。全国の隅々の自治体が、正しい性教育やピルの適切な使用、予期せぬ妊娠をした際の相談窓口の設置、また前述した内密出産の仕組みを作るなど環境を整備することこそ、女性が出産に前向きになる鍵になるのではないだろうか。
多くの中絶を選択した女性たちの苦しみは、政策の中で救われていない。国難の「少子化対策」の中で、こうした女性たちの声が少しでも国に届くことを祈る。