教師による性加害行為が原因で自死した女子生徒がいる。ジャーナリストの渋井哲也さんは「沖縄県の高校で、女子生徒に対する男性教師の性加害行為が起きた。女子生徒は教師を慕っていたが、男性教師によるボディタッチやキスなどでパニック障害を発症。体重も約10キロ減少し、最後には自ら死を選んでしまった」という――。(第2回)

※本稿は、渋井哲也『ルポ自殺 生きづらさの先にあるのか』(河出新書)の一部を再編集したものです。

通りを歩くアジアの女子高生
写真=iStock.com/metamorworks
※写真はイメージです

男性教師による性加害行為から自殺にいたった女子生徒

教師からの性被害に関連して、自殺に至ることもある。

2014年12月29日深夜、沖縄県那覇市在住の高校1年生の泉日和さん(享年16)が自殺した。実は、中学時代に40代の男性教師(学年主任)による性加害行為があった。性加害行為については、市教委や学校が作成した資料で詳細が明らかにされている。ただ、高校では心機一転で学校生活を楽しんでいた矢先の出来事だった。しかし、高校1年の11月頃、性被害について高校で噂になった。

時折、自宅のベランダに佇んでいた。母親のさつきさん(42)は当時の様子をこう話す。

「日和が部屋にいるときには心配だったので、常に耳をすまし、教科書などのページをめくる音がしなくなったら、すぐに見に行っていました。あるとき、部屋を覗くと、ベランダに立っていました。『また風にあたっているの?』と聞くと、『風にあたっているだけだよ』との返事がありました。もしかしたら、飛び降りるべきかどうか、自分でも葛藤していたのかもしれません」

12月29日、さつきさんが寝ているすきに、日和さんがベランダから飛び降りた。たまたま歩いている人が見つけて110番通報。警察が団地一軒一軒回っていたことで、さつきさんは気がついた。

「亡くなったときは夜中の2時頃。日和は寝ているはずでしたが、警察が来たことでいないことに気がつきました。翌日、中学時代の仲良しで、部活の友達7人と会う予定でした。高校生になって一度も会っていませんでした。そのうちのひとりと『明日、会えるかな? ゆっくり話そう』と電話していましたが、待てなかったのかもしれません。飛び降りたときには楽になりたかったのかな。日和が亡くなった後は、後追いをしようと思ったこともありました」